デザイナとして実力をつけたいあなたへ

デザイナとしての実力をつけたいなら、それなりの工夫にプラスして時間的な投資も必要です。けれど実力を身につけるそのまえに退職したくなるような出来事も起きることでしょう。思うようにいかないことも多々あります。無情ですがそれが現実です。デザイナなどのクリエイタは時給職・肩書職じゃないので、辛い思いをしている人もいるかもしれません。

 

ですがよくいわれるように「継続は力なり。石の上にも3年」という格言はある意味で本当だと思います。いまはつらくて辞めたいと思っていても、そこが「ピンチはチャンス的な分岐/人生における試金石」かもしれません。

 

あのときに辞めないでいたら…なんて悔いを残さないように迷える方々へのアドバイスになればと、おもな退職原因について対処法を書いてみました。

 

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1.長時間労働がつらい

新人デザイナになったばかりのときに長時間働くことがツライのは、自分の思い通りにできないことや 自分で判断できないことの時間が多いから... といった理由からの方が強いと思います。つまり自分の評価に結びつく報酬や実績につながる仕事だと長時間労働もさして辛くないんですね。 イヤな上司と過ごす2時間は長いけれど、恋人と過ごす2時間はあっという間に過ぎていく… と同じことです。  

 

職場の先輩方が長時間働けるのは、こちらの理由があるからです。

じゃぁ、評価の対象ですらない新人で まだ仕事のイロハを覚えている段階ではどうか?  んー、このときが一番つらいんですよね。 先輩方が軽々やっている簡単な作業さえ うまくできないし、仕事もそれほどできない。会社の全体像や取引先との人間関係もつかめてないから気苦労も多いし、一日中神経を張りつめている時期ですから、仕方がないといえば仕方がありません。こんなときは私生活に波風を立てず、遊びも控えて慣れるのを待つしかない、と思います。1年間の辛抱? これはのちのち仕事をまかされるようになるまでの時間的投資かもしれません。

 

で、1年間きっちり辛抱し仕事も充分おぼえてきたのに、会社によっては年がら年中 仕事時間の長いところがあるというのもまた現実です。 

そんなときは「明朝、早出してやっておきます」といって強引に帰宅するのもひとつの方法です。 始発なら座って通勤できますし、同僚や先輩がいない早朝時は 雑音がない分だけ仕事がすごくはかどります。  早出ついでに事務所の掃除をしたり、出社してくる先輩方にコーヒーなんかいれると、会社がとたんに過ごしやすい場所になってくるんです。 掃除・ゴミ出し・買物・資料整理など、人の嫌がる単調な仕事を率先してやるのがポイントです。そんな工夫を3年がんばって続けてもまだ仕事に追われてるっていう人は、職場の仕事のやり方を根本的に見直した方がいいと思います。なぜならすごく無駄な作業を繰り返してる制作会社って実際にありますからね。びっくりさせられます。

 

2.人間関係がつらい

ときどき「こんなに底意地の悪い人間って、本当にいるんだなぁ」と感心するほど後輩イジメに精をだすのがいます。高校のときもいたし、大学のときもいました。もちろん社会人になってもいました。結局、どんなところにも存在するんじゃないでしょうか? また意地悪じゃなく、年功序列を心底信奉しつつ 実力差を無視してまでも何かと先輩ヅラしたい人もいます。それを人間関係の基本構造だと信じ込んでいるのでしょうね。タチが悪いというか、頭が悪いというか、困ったものです。  

 

才能あるプロ野球志望の選手が、コンプレックス丸出しの万年補欠先輩に潰されるのは、よく聞く話です。  

ゴルフの丸山選手も大学で経験したとなにかの番組で見聞きしたことがあります。最初は耐えていた丸山選手ですが、これ以上はツブされると感じゴルフ部の監督に直談判したそうです。「将来、絶対に一流プロゴルファになる私と、あの先輩たちとのどちらを選択しますか」と。 

そのとき時点で実力がないとできない手法ですが、私も経験したことがあります。低俗すぎる上司に困ってしまい、その上司を無力化・形骸化するまで3年かかったことを憶えています。  

 

この無能イジワル先輩対策には、いろんな方法があります。 

 ・バカ上司から受けるストレスを自分の部下にぶつけて憂さ晴らしする (バカ上司と自分が同類であることを認める行為ですが… )

 ・自分を捨て、なんとか迎合する 

 ・上司の上司に直談判して、だめならその職場を辞める 

 ・バカを黙らせるほどの実力がつくまで我慢する 

 ・ストレスを溜め込んで、身体か精神を壊す  

 

これはその人自身が一番試される問題だと思います。自分という人間の側面を知る一つの踏み絵なのかもしれません。良い悪いではありません。 自分を知る事実を経験するだけです。いまドロドロの人間関係に苦しんでる人にはアドバイスに聞こえないのかもしれません。

 

 

で、ちょっと話がズレるかもしれませんがお付き合い願います。

私が受験生だったころ、歴史の授業で学年主任でもあった浦埜先生がいつもならバシバシ教壇を叩いている竹の棒を置き、 ヒンズー教のお話をなされたことがありました。

 

「ヒンズー教には人が人として大成するための「道」が4つあるとされている。その4つの道とは...  < 1.大病を患う  2.放浪の旅に出る  3.投獄される 4.ヒンズー教徒として出家する >とされている。これはヒンズー教の話だから最後の教徒として出家する というのは宗教上の宣伝みたいなものと話半分にしておいて、前出の3つに共通する<ある一定の期間ずっと自分を見つめ、人生の意味を問い続ける>という行為は大切だ。日々の雑務に追われず、自分の考え方や自分の人生を、常識を、そして社会を問い直す行為はムダじゃない。忘れるな!  そして大学に行ってバイトに明け暮れるくらいなら親元を離れ、海外を放浪しろ!」

 

...とまぁ、教員にあるまじきことをお話くださいました。 もちろん雑談みたいな軽口じゃなく、真剣におっしゃってくれたわけでスゴク心に響きましたし、こうして30年近くを過ぎても記憶に残っています。  

 

わざわざ恩師の言葉を持ち出すまでもなく、自分自身を冷静になって分析してみることは大切です。すこし離れて俯瞰から見る、ロングスパンで考える、違う価値観のなかで再考する、みたいなことにより いまのツライ時期を踏ん張れるかもしれません。(もしくは、さっさと転職しようと決心できるかもしれません)

 

3.給与が安くてつらい

デザインの仕事は時間給じゃないので、サラリーマンや公務員のご両親のもとで育った人にはちょっと辛い、ブラックな仕事に感じるかもしれません。

デザインの仕事は、芸大や専門学校をでたからといってスグに仕事ができるはずもなく、現場のノウハウやルールを教えてもらわないと仕事になりません。まるで職人に弟子入りするような修行期間がどうしても必要になります。そして雇う側からすれば、素人に仕事を教えながら給与も払うわけですから2重損です。なので小さなデザイン事務所のなかには新人にまともな給与を支払わないところさえあります。もちろん新人デザイナー側もいろんな現場を経験したいという思いからドンドン転職していくタイプの人もいます。

スポーツジムに入会金と月々の月謝を支払いせっせと通うのが好きな人と(生まれ育った環境や考え方の違いだろうけれども、なぜか女性に多いです)、給与としてお金をもらいながら身体を鍛え上げられる肉体労働を選ぶ人との違いかもしれません。

 

これは個人の感覚/意見の相違ですが、私個人は1つの会社に5年間在籍してからそのまま独立しました。(独立の経緯はコチラ→)

 

デザインの仕事は、1万円の仕事を100時間かかりましたから時給1000円に換算して10万円いただきますとはいえません。 また逆もあり得ます。  

不思議なことにデザイン作業というモノは目標や締切がないと、うしろにダラダラ伸びる傾向にあります。一般的な社会通念としてのコスト意識を持っていないと、いつまでも安い給与のまま一人前になれない(組織として利益をあげられない&大きな仕事を任せてもらえない)ことさえあります。これは雇う側、雇われる側にも不幸な関係です。

 

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